彼が猫になる
お婆ちゃんの声がする

「お嬢ちゃん大丈夫かぃ?」

優しい声

こんな姿見せられたもんじゃない

泣きじゃくる顔は

真っ赤に腫れて

涙と鼻水で汚れた服

誰もいないって

だから泣いてたのに

…いや。

都会の真ん中にいても

あたしはきっと泣いてた

弱い。

泣き止まなきゃ。

「何かあったんだねぇ?」

お婆ちゃん…有難う

でもほっとぃて欲しい…。

恥かしい。

「だぁ、だぁいひっく」

「・・・じょぶですから・・」

顔を上げずに

声をするほうに手をあげる

「ぁ~ぁ~辛いことがあったんだねぇ」

「大丈夫。 今はお婆ちゃんしかいないから」

「めぃ一杯泣きんしゃい。」

そっと背中をさすってくれた。

こんな他人のあたしを

優しさで迎えてくれる

あたしは安心て泣ける

ごめん。

ずっと寂しかったんだ。

あたし何にもお婆ちゃんに

できることってないけど

もうちょっと

泣いててもいいですか?
< 79 / 99 >

この作品をシェア

pagetop