彼が猫になる
でも時々お婆ちゃんの顔を見に

よく来てくれたんだよ

長休みがとれたって

ちょっとした休みは

お爺ちゃんの畑仕事も手伝ってくれたり

お爺ちゃんが死んじゃってからは

ずっとお婆ちゃんに仕送りも

してくれるくらい優しい子でね

何の仕事してるかは

お婆ちゃんさっぱりだったけど

嬉しかったねぇ

こうして

ずっと溜めてるんだよ…

大事そうにしまってある

一護からの仕送りと

手紙を見せてくれた

あの子が

いつからか楽しそうに

話す機会が多くなってね

お婆ちゃん

一護が本当に大切なものを

見つけたんだって

思ったよ

いつ帰ってきても

その話ばっかりでねぇ。

生き生きしてたよ

あの子は…。

ぅんぅん。

あたしの知らない一護を

楽しそうに喋るお婆ちゃんをみて

あたしは幸せだった。

「うぶちゃん?」

ん?

「うぶちゃんなんだよ
   暗い一護の人生を変えたのは」

え?

ツラッッ

一滴の温かい涙があたしの頬を伝う

さっき泣いた痛い涙とは違う

嬉しさと

あたしを縛ってた縄が

ふっと切れたような

「うぶちゃんとは今日が初めてだけど
    お婆ちゃんずっと見てきたきがするよ…」

「本当に優しい子で
   お婆ちゃん嬉しいよ…。」

言葉に出せない

ごめん…あたしそんな言い子じゃないの…

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