彼が猫になる
「でもねぇ…」

去年帰ってきたときから

うぶちゃんの話をさっぱりしなくなったんだよ

あの子…。

ずっと気になってたんだけど

空元気な一護をみると

痛々しくってね

聞くにきけなくて…。

…あたしと一護が別れた時くらいだろうか…

大きな仕事が入ったんだよって

これからはずっとこっちにいるからって

勿論お婆ちゃん家は田舎だから

ちょっとココから離れた

町に住むって言うんだけどね

ちょうど娘夫婦が住む町だよ

お婆ちゃんは

一護が近くなってそりゃ嬉しかったけど

うわの空の一護は

見れたもんじゃなかったねぇ…

何か絵を描く仕事だって言ってたけど

ずっと完成してないみたいだねぇ。。。

暫く様子を見ようって

思ってたんだけど

あの子…。

愛美を…。

…愛美と言えば
  お婆ちゃんの娘さんの子供…

あの子ずっと小さいときから

愛美を可愛がっててねぇ…。

ずっと愛美も一護を本当の兄みたいに…

兄以上に慕っててね…

あの子

寝たきりなんだよ今。

…白血病でね…

病院から出られない愛美を

一護は不便に思ったんだろうね

自分全部捨てて

愛美の傍にいてあげようとして

…本当優しすぎる子で…

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