彼が猫になる
お婆ちゃん

それは違うよって思うんだけどさ

一護真っ直ぐな子だから

こうって決めたら曲げない子だから

お婆ちゃん何も言えなくて

勿論愛美も

一護が近くにいるようになってから

ずっと前より笑うようになってねぇ

そんな愛美から一護を離すことなんて

出来ないんよぉ…

「ごめんねぇ…
   辛いのはうぶちゃんなのに…」

…。

…。

………。

…一護…。

…。

眠りにつけないくらい

また一護の事考えてる…。

「うぶ!
  仕事が決まったんだ!」

ずっとやりかった仕事

満面の笑みであたしを包む

同じくらい嬉しかった

仕事を重ねていくうち

どんどん一護は才能を認められて

どんどん忙しくなって

大きな成果を出していく

逢えない時間が増えたけど

あたしはそんな一護が好きだった

一護の作品はどれも

あったかくて。

あたしはそんな人と

付き合ってんだって

それだけで幸せだった。

都内の高層ビルに

ひとつ浮く企業ポスター

透き渡る空に向かって

ジャンプする男の子

誰もが皆頑張ろうって思える

一護のファン一号だなぁって

ポスターを見ながら一人にやけてしまう

すれ違う女子高生の話声…

「あのポスターいいよねぇ!
   誰描いてんだろ~?
    格好いいよね!」

ズキっ。



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