彼が猫になる
グワッグワ…。

牛蛙の泣く声。

そうだ。

あたし一護のお婆ちゃんの家に

やっと寝付けたと思ったのに…。

順調だった。

あたしと一護。

簡単に別れられるような

存在ではお互いなくなってた。

雑誌インタビューで一護は

あたしの存在をはっきり言ってくれた

「大切な人がいます」

女の子のファンはえーってブーイングかと思いきや

そんなとこもいいよね~て。

認めてくれたみたい。


…そうか。

あの日…。

あたしが馬鹿じゃなければ

一護と離れなくて済んだのかもしれない

全部知ってたら…。

「…うぶ?」

あの日

一護の様子が明らかに変だった

一緒に住みはじめてたあたし達

昨日は一護は仕事でちょっと

遠く行ってて。

一護が帰ってくる時には

あたしは夢の中だった。

朝起きると

涙で濡れた一護の顔

ニヤニヤしてる時もあった。

泣いてたの初めてで

でも全部がイトオシイあたしは

涙を拭う事で

一護を支えてあげれると

思ってた。

「…俺。
  お前と一緒に居てたら駄目なんだ」

「俺と別れてくれ」

「…今日出て行くから」

寝起きだから?

あたしは一護が何言ってるか

分からない

さっさと荷物をまとめ始める一護

何か聞けばいいじゃないあたし

理由は何?

あたしのこと嫌いになった?

…。

なんで一護が泣いてるのよ。

泣くくらいなら

あたしと一緒にいてくれたらいいじゃない

何も言わずに

背中で泣く一護を

ただ

ただ

みる。


< 90 / 99 >

この作品をシェア

pagetop