心の羽根
「ごめん、お風呂入ってきちゃうね。待ってて」
「分かった、ゆっくりでいいからな」
彼が居間に入ると彼女の父と母が座っていた。金魚はテーブルの真ん中の水を入れたグラスの中を…やはり困った様な顔で漂っていた。
「久しぶりだね。東京で頑張ってる?」
父親が微笑みながら聞いてきた。
「はい、順調です」
「それは良かった。」
少し沈黙になる。
「君には…」
父親が意を決した様に話し出した。
「君には本当に大変な思いをさせてすまない」
「いや…」
「母さんからも聞いたと思うが、あの子今年の春に急に倒れてな。元々心臓が悪いのは君も知っていると思うが、ここに来てだいぶ弱っているらしいんだ。余命半年…そう宣告されて今2ヶ月目。今年の年を越せるのかも分からない。」
ここで母親が話を引き継ぐ。
「あの子のことを考えると、多分あなたには黙っていると思うの。だからあなたもあの子の前では何も知らないふりをしてほしいの。ツラいけど…ごめんなさいね」
お母さんの最後の方の言葉は涙声で俯いてしまったので、よく聞き取れなかった。
「…やっぱり本当だったんですね…」
彼は呟いた。彼女に再開してから今まで、そのことは信じていなかった。すごい体調が悪くも見れないし、至って元気だったからだ。現実に引き戻された気がした。
「あの子、今日は信じられないくらいだわ。昨日まで目眩がしたり、疲れるって言ってずっと動けなかったんだから」
「…そうだったんですか?」
父親が彼を真っ正面から見る。
「君のお陰でこんなに元気なんだよ。本当に今まで娘をありがとう。そしてもし良かったら短い間だけど、これからも娘をよろしく」
そう言うと父親は深々と頭を下げた。母親もそれに続く。遠くで誰かの打ち上げ花火の音がした。
「分かった、ゆっくりでいいからな」
彼が居間に入ると彼女の父と母が座っていた。金魚はテーブルの真ん中の水を入れたグラスの中を…やはり困った様な顔で漂っていた。
「久しぶりだね。東京で頑張ってる?」
父親が微笑みながら聞いてきた。
「はい、順調です」
「それは良かった。」
少し沈黙になる。
「君には…」
父親が意を決した様に話し出した。
「君には本当に大変な思いをさせてすまない」
「いや…」
「母さんからも聞いたと思うが、あの子今年の春に急に倒れてな。元々心臓が悪いのは君も知っていると思うが、ここに来てだいぶ弱っているらしいんだ。余命半年…そう宣告されて今2ヶ月目。今年の年を越せるのかも分からない。」
ここで母親が話を引き継ぐ。
「あの子のことを考えると、多分あなたには黙っていると思うの。だからあなたもあの子の前では何も知らないふりをしてほしいの。ツラいけど…ごめんなさいね」
お母さんの最後の方の言葉は涙声で俯いてしまったので、よく聞き取れなかった。
「…やっぱり本当だったんですね…」
彼は呟いた。彼女に再開してから今まで、そのことは信じていなかった。すごい体調が悪くも見れないし、至って元気だったからだ。現実に引き戻された気がした。
「あの子、今日は信じられないくらいだわ。昨日まで目眩がしたり、疲れるって言ってずっと動けなかったんだから」
「…そうだったんですか?」
父親が彼を真っ正面から見る。
「君のお陰でこんなに元気なんだよ。本当に今まで娘をありがとう。そしてもし良かったら短い間だけど、これからも娘をよろしく」
そう言うと父親は深々と頭を下げた。母親もそれに続く。遠くで誰かの打ち上げ花火の音がした。