心の羽根
「ホントにバカだな!オレはお前の彼氏だぞ! 例え余命が半年だろうが百年だろうがオレらはずっと一緒だ!」
「ありがとう。私…ホントに幸せだったよ」
「もう終わりみたいなこと言うな!」「終わりだから!でもホント、私幸せだよ。こんなに思ってくれる人がいて。ホントに毎日楽しかった。」
彼女は大粒の涙を流した。
二人は固く抱き合った。
「オレは戻らない。東京には帰らずにここでお前の側にいる」
電車がホームに入ってきた。
「ダメだよ!私そうなると思ったから言いたくなかったんだ。」
「だってお前を残して一人で行けるか?無理に決まってるだろ!」
彼女は顔を上げると、ちょうど開いた電車のドアが彼の後ろに見えた。
「お願いだから行ってよ!」
彼女は力一杯彼を押した。彼は体勢を崩し、彼女から重みが消えた瞬間、電車の中に飛ばされていた。
プシュー…
電車のドアが無情にも閉まる。
「おい!」
すぐに彼は起き上がり、電車のドアに体をねじ込もうとするが遅かった。
ドアの窓から彼女が涙を流しながら…笑顔で小さく手を振っていた。
< 17 / 19 >

この作品をシェア

pagetop