心の羽根
夏祭り
「ジャ~ン!!」
家から出てきた彼女は彼の前に両手を広げて立つと、そのまま一回転した。
「どぉ?似合う?」
彼女は淡いピンクに花柄をあしらった浴衣を着ていた。
今日は山あいのこの小さな町の年に一度の夏祭りだ。毎年二人で行ってるため、今年もこの日に合わせて彼は休みをとった。
「似合ってる!すごく…」
夏の夕暮れ時に浮かぶ彼女の姿は、体が小柄で幼く見えるせいか、儚げな少女の様に見えた。
「ちょ、ちょっと、見すぎでしょ! 早く行こう!」
恥ずかしそうに彼女はそう言うと彼の腕に捕まった。
夏祭りの会場に着くと、ぼんやり浮かぶ提灯や沢山の見知った顔を見て、何も変わってないことに驚いた。まるで去年から時間が止まっていたかの様に。
「下駄って初めて履くから何か疲れる~」
隣の彼女は少し息を切らしながら歩いている。恐らく履き慣れない下駄のせいじゃない。心臓が弱ってるから呼吸が苦しいのかもしれない。実際、去年より彼女の歩く速度は格段に遅くなった。苦しそうな顔をしたり、額に汗を浮かべていたりしていた。彼が速度を合わせ、大丈夫?と聞いても笑いながら着慣れない浴衣と下駄のせいにする彼女が…切なかった。
家から出てきた彼女は彼の前に両手を広げて立つと、そのまま一回転した。
「どぉ?似合う?」
彼女は淡いピンクに花柄をあしらった浴衣を着ていた。
今日は山あいのこの小さな町の年に一度の夏祭りだ。毎年二人で行ってるため、今年もこの日に合わせて彼は休みをとった。
「似合ってる!すごく…」
夏の夕暮れ時に浮かぶ彼女の姿は、体が小柄で幼く見えるせいか、儚げな少女の様に見えた。
「ちょ、ちょっと、見すぎでしょ! 早く行こう!」
恥ずかしそうに彼女はそう言うと彼の腕に捕まった。
夏祭りの会場に着くと、ぼんやり浮かぶ提灯や沢山の見知った顔を見て、何も変わってないことに驚いた。まるで去年から時間が止まっていたかの様に。
「下駄って初めて履くから何か疲れる~」
隣の彼女は少し息を切らしながら歩いている。恐らく履き慣れない下駄のせいじゃない。心臓が弱ってるから呼吸が苦しいのかもしれない。実際、去年より彼女の歩く速度は格段に遅くなった。苦しそうな顔をしたり、額に汗を浮かべていたりしていた。彼が速度を合わせ、大丈夫?と聞いても笑いながら着慣れない浴衣と下駄のせいにする彼女が…切なかった。