心の羽根
太鼓と祭り囃子の音が響く。町内の神社の境内には沢山の出店と人でごった返していた。「神社にお参りしていこっ!」
彼女が彼の手を取る。
「そうだな!」
彼は彼女の手を握り、神社の境内に向かった。
「あっ、私五円玉ない~!」
彼は財布を開くと五円玉が二枚あった。
「これ使えよ」
彼は五円玉を二枚掴むと一枚を彼女の手の平に乗せる。
「ありがと~!」
彼女は嬉しそうに笑うと、五円玉を握り、賽銭箱に向き直ると、放った。彼もそれに続き、手を合わせる。目を細く開け、彼女を横目で見ると、さっきの笑顔のまま目を閉じ手を合わせていた。
何をお願いしてるんだろう…。
彼はまた向き直り、深々と頭を下げた。願いはただ一つ、「来年も彼女とここにいさせてください。」
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