キミを待っている


昨日が終業式で、今日から冬休み。

そして今日は、雪城……ユカリさんと約束していた土曜日。



待ち合わせ。

時間は十時。

場所は学校前。



どのくらいの時間に行けばいいだろうか。

バスの時間と見合いっこしながら、何度も思案した。

ユカリさんと一緒になったら、すごい偶然。

でも、そうなったらいいのになんて思っていた。





ならなかったけど。

「ユカリさん、遅いなあ」

遅いと言っていながらもまだ十時になったばかり。

でも、彼女は時間にルーズな人間じゃない。

むしろきっちりしているので、早めに来ているのかと思ったけど。



どれだけ待っていただろう。

何度目かのバスが来た。

そのバスからユカリさんが降りてきた。

「おはよう。ユカリさん」

「えと……」

ユカリさんは言葉を詰まらせているようだった。

ほんの少し、顔が歪む。

それは、この寒さのせいじゃない……何故だか僕にはそう思えた。


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