キミを待っている
彼女は驚いているようだったが、少しの沈黙のあと、答えを返してきた。
「私……パソコン部に入部したいんですが……」
消え入りそうな細い声で、彼女が言った。
ははー、入部希望ね。
……え?
今、みょうちきりんな言葉が頭をよぎった。
「入部希望?」
もう一度聞きなおす。
「……そうです」
もう一度同じ答え。
ああー。
どうやら、僕はこの子の監視をしなくてはならないらしい。
僕はパソコン部部長を任されているが、さすがに二つ返事でオーケーとはいかない。
最終的に了承するのは僕ではなく、パソコン部顧問の役目だからだ。
「……とりあえず、中に入ろうか」
それでも、こんな面倒な役は引き受けたくはなかった。
一縷の望みをかけ、
「名前は?」
なんてことを聞いてみる。
「……雪城ユカリです」
予想通りの答えが返ってきて、がっくり来た。