キミを待っている
とりあえず、情報処理室の中に入る。
外の空気は段々と冷たくなってきているが、たくさんの機械が動作している情報処理室はその熱のおかげで暖かかった。
「部長ー。……って、その人は?」
入ってすぐに一年生の森が寄ってきた。
「ああ……みんなも聞いておいてね!」
せっかくだから部屋全体に聞こえるよう、少し声を張り上げる。
「こちらパソコン部に入部希望の雪城ユカリさん!……ほら挨拶」
言って、隣に立ってぼうっとしていた彼女に促した。
「あ……えーと、二年で入部希望の雪城ユカリです。よろしくお願いします」
彼女が言ったあと、部屋がざわついた。
いきなりの新入部員に騒ぐのはわかるが……それが少し大きすぎる。
今更だが、これは当たり前かもしれない。
彼女の自殺未遂は校内全体で噂になっているのだから。
……これは失敗だったなあ。
ここは、あまり彼女にとってはいい環境ではないかもしれない。
もちろん、この学校のどこに行ってもそうなのだろうが。
「へえ、よろしくお願いします」
……森は違うようだけど。
森は能天気で、風評なんか気にしない性格なのだろう。
「雪城先輩、キレイな方ですね」
「え?……あ、ありがとうございます」
ついでに、自分が見て思ったことをはっきり言うタイプだ。
僕も最初はよく持ち上げられた。