キミを待っている
きっとこうなるシナリオが出来上がっていたに違いない。
……仕方ない。甘んじて受けよう。
「……わかりましたよ」
とりあえずこれで生徒会に行く回数は減るだろう。
生徒会に出なくちゃならないときは森に任せておけばいい。
「物分かりがいい後輩でよかったよ」
そう言って、長瀬先輩は情報処理室に戻っていこうとする。
が、立ち止まり、
「あ、そうそう。彼女、もううちの部員だから」
その言葉を残していった。
どうやら僕に逃げ場はないらしい。
部屋に戻り、雪城さんと一緒にいるだろう森の席に向かう。
「あ、先輩。もういいんですか」
「うん。……何してるの?」
ディスプレイいっぱいにゲームの画面が映し出されている。
「先輩の作ったゲームですよ」
ああ、これは確か一年の頃に作ったシューティングゲームだ。
雪城さんも感心してみている。
「あー、えと……部長」
そういえば雪城さんにまだ名乗っていなかった。
「藤沢ショウタ。――同級生なんだから名前でいいよ」
「藤沢さん。これ、自分で作ったんですか?」
「うん。そうだよ」
自分でプログラムを一から組んだゲーム。
趣味で作っているものだから、それを見て驚いてくれる人がいるというのは嬉しい。
「すごいですね……」
雪城さんは目を丸くして驚いてくれている。
「これ、今年の文化祭でもなかなかの人気でしたよね」
森の言うとおりだった。
「今の僕からしてみればかなり拙いゲームだよ」
本当にその通りだから、素直に言ってみる。
雪城さんは、
「藤沢さんって、すごいんですね」
さすがにそこまで感心されると、なんだか申し訳なさが出てくる。