Calling*Me
「――何?」

「電話なら弱音吐ける?前はダメだったけど今はどうかなって……」




電話でなら?




わからない…。でも相手の表情がわからないから、いいかもしれない。




「私は……私は」

「うん…」

「私は今…誰かに抱き締めてほしい」




生きてると確かめてほしいの、たったそれだけよ。いいでしょ?




背中から伝わる体温。心地いい。




「どうしたの?」

「生きてると感じたかっただけ、悪い?」




叶と向き合うようにして、私は電話を持ったまま「名前やっぱり探して」と伝えた。





「うん……でもわかったよ」

「何?」

「でも今は言うときじゃない…」

「知らないんでしょ?」

「バレた?」

「それより何で電話かけたの?迷惑だったんだけど」

「ん?電話っていい、何かいいよ」





電話ね……いいかも知れない。




「芽瑠小さい……包み込めそう」

「……」




何してるの?自分、早く戻らないと女王たちが怒る。





「ダメ離れて行かないで、俺、芽瑠を助けたあと言いたいことあるんだ…」





そんな言葉を無視して叶から逃げた。




バカだ。ノコノコとこんなところ来て。


< 313 / 331 >

この作品をシェア

pagetop