クマさん、クマさん。
「忘れる訳ないじゃん。
アメリカに初めて地を着いた時、
伝えたいことが相手に伝わらなくて苦しんだ時、
すごい会社に認められた時、
日本に戻れることになった時、
日本に戻れた時、
それ以外になん度もなっちゃんを思い出したよ。
なっちゃんの笑った顔を思い出して、この6年間頑張ったよ」
「・・・クマさん」
「なっちゃんを諦めることは俺にはできなかったよ」
「クマさん」
あたしもだよ。
忘れることなんてできなかったよ。
「だから返事してよ」
クマさん・・・。
クマさん・・・。
「あたしと一生一緒にいて下さい」
「喜んで」
考えられなかったあなたとの『未来』が今鮮明に描かれる。
「今さっきの彼氏でしょ?」
思い出したようにクマがポツリと言った。
「うん」
「早く別れて」
はぶてたように言うクマさんが可愛かった。
「うんっ」
なん度も願ったあなたの隣り。
なん度も願ったあなたの手。
なん度も願った隣で笑うあなた。
それが今現実になる。