クマさん、クマさん。
「ここ分かんないから教えてほしいんだけど」
なっちゃんが困った顔をしてノートを出す。
アカヤが俺の写していた宿題のノートだ。
「あ~、ここね。なっちゃん、これはこの方式使うんだよ」
「あっ、だから違ったんだ。ありがとう」
なっちゃんはニッコリ笑った。
俺はそのなっちゃんの笑顔が大好きだ。
俺、決めた!
この笑顔が毎日見れるなら、俺は"夢"が遠くなっても構わない。
だから、なっちゃんが行く高校を行こう!
「なっちゃん」
「なに?」
「なっちゃんはどこの高校に行くの?」
「あたし?」
「うん」
「あたしとアオイはK高行くよ」
チラッと俺の隣りを見て言った。
俺は意外と勘は鋭い方だ。
良かったな、アカヤ。
お前と亀木は両思いだ。
「そうなんだ。頑張ってね」
俺はなっちゃんに笑って言うと、席を立って職員室に向かった。