クマさん、クマさん。
「お前迷ってるだろ」
「・・・」
いきなり直球でこられると返事に困る。
「来いよK高」
「アカヤは?行くのかよ、K高」
亀木はK高だ。
だからアカヤも行くとしたらK高。
「行くよ。離れて後悔したくないから」
すぐに答えるアカヤに俺みたいな迷いなんて全くなかった。
「実は俺サッカーで来てくれないかって結構色んな高校から来てたんだ」
「へぇ-、アカヤすごいもんな」
アカヤはサッカーの実力が相当ある奴だ。
「でも、俺はK高に行くよ」
K高も確かにサッカーは強い。
けどこいつならK高以上の強い高校から来てくれないかと誘われているはずだ。
「行く理由は亀木がいるからか?」
「おぅ」
「アカヤはそのことで後悔しないのか?」
「しない。する理由がない」
「・・・そっか」
「悩むならK高に来いよ」
「・・・」
返事ができない。
「返事ができないってことは、答え決まってんじゃねーの?」
アカヤは眉間にシワを寄らせながら言うと、体育館から出て行った。