クマさん、クマさん。
「クマさん」
「・・・なっちゃん」
「なんか話すの久しぶりだね」
「・・・そうだね」
T高を行くことに決めてから1週間。
俺はなぜかなっちゃんを避けていた。
なんとなく自分がなっちゃんを避けていた理由は分かっている。
「クマさん」
「なに?」
「クマさんはどこの高校に行くの?」
「・・・」
理由はこの質問をされたくなかったからだ。
「ねぇ、教えてよ」
「・・・どこだと思う?」
「・・・K高?」
前の俺なら"当たり!"って言ってたのに・・・
「・・・ハズレ」
「・・・じゃあ・・どこ?」
「・・・T高」
「・・・そ、そうなんだ。T高レベル高いけどクマさんなら大丈夫だよ。頑張ってね」
なっちゃんは笑って言うと、俺から去って行った。
なっちゃんからの笑顔で"頑張って"・・・。
そんな言葉聞きたくなかった。
笑ってほしくなかった。
泣きそうな顔で"離れちゃうね"とか言ってほしかった。
"K高に行こうよ"って言ってほしかった。
でも、なっちゃんは笑って"頑張って"って言ってくれた。