クマさん、クマさん。







今日もアカヤが俺のノートを目の前で写す。


俺は遠くで笑っているなっちゃんを見る。



「なぁ、クマ」


「ん?」


「T高合格おめでとう」


「・・・ありがとう」




「なぁ、クマ」


「ん?」


「後悔は?」


アカヤが俺をじっと見る。

その視線に気がついていたけど俺はずっとなっちゃんだけを見ていた。



「全くない」


「ふぅん。真中どうすんの?」


「好きだよ」


「告わねーの?」


「うん」


「なんで?」


「それは今言うことじゃないから」



俺はT高に行く。

その決断はなっちゃんと離れるかもしれないけど


「俺はなっちゃんをずっと好きだよ。ずっと」


だからまだ高校時代は遠回りをすることにした。


「人生まだまだこれから。いつになるかは分からないけど、なっちゃんに俺を好きになってもらう」


アカヤを見るとアカヤは少し口を上げてノートを写していた。



だから、なっちゃん。


覚悟しててね。





熊谷 空也。-中学時代-


-END-


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