クマさん、クマさん。


「お前、これで良かったのかよ?」



後ろから言われても誰か分かった。


「いいんだよ。これで」


俺が行くのはアメリカだ。


逢いたいと言って逢える距離じゃない。



きっと今付き合っても、なっちゃんを泣かすだけ。



「俺はなっちゃんの笑った顔が好きだから、いいんだよ」



"クマさん"と言って笑うなっちゃんが大好きだ。



「いつ帰ってくんだよ」



「さぁ?大学を卒業しても帰ってくるか分からない」



できるなら、あっちの会社に入りたい。



でもまだそんなことは分からない。


どうなるかはアメリカに行って決まる。







ずっと今日までなっちゃんを諦めようと思っていた。


「でも」


「なんだよ?」




なっちゃんと会って、決めた。


「もしも俺がアメリカに行ってもなっちゃんへの想いがなくなってなかったら・・・俺はなっちゃんに伝えるよ」



「なにを?」


アカヤは笑った。


「分かってんだろ?」



なんとなく口調が悪くなる。



「まぁな。でも、その時真中に彼氏ができていたら?」



「そんなの奪えばいいだけだろ」



< 82 / 138 >

この作品をシェア

pagetop