加納欄の待ち合わせ シリーズ26
「犯人は2人、顔の確認はできません。ゴリラの被り物を付けているので性別も不明。1人は男性かと思います。散弾銃を2人とも所持してます。お店の中に、正確な人数はわかりませんが、客がいます。まだ人質として捕らえられていませんが時間の問題だと思います」


「もぅ少しで着くから待ってろって」


「待ってる間に誰か人質にされたら!……」


そこで、会話が途切れた。


話しを中断せざるをえなかったのだ。


あたしの頭にゴリッと固いものが突き付けられた。


窓際で、外の様子を伺っていたゴリラが、あたしの声が聞こえたらしく、こちらに歩いて来ていたのだ。


あたしは、それに気づかずに、大山先輩と会話していた。


あたしは、冷静に素早く、ケータイを切り、両手を顔と同じ高さに上げ犯人を見た。


無表情のゴリラは、散弾銃を構え直すと、じっくりと狙いをつけた。



おバカさん、狙いをつけてる暇があるなら、とっとと撃たなきゃやられちゃうよ。


あたしは、素早く体を低くし、ゴリラの足におもいっきり蹴りを入れた。


マスクを付けると、否応なしに視界が奪われる。


特にあんなに大きなゴリラのマスクだ。


突然しゃがまれたら、視界が悪いために、隙ができる。


そこを狙って攻撃をするのだ。


相手の動きを封じこめたいため、膝の裏をおもいっきり蹴り上げる。


ガクンと膝が折り曲げられ、ゴリラが倒れそうになったところへ、散弾銃を掴み自分に引き寄せ、散弾銃と一緒についてきた体にドスッと、みぞおちに一発入れた。


ゴリラは、ウッ!と低い声を出し、その場に倒れこんだ。


あたしは、散弾銃を奪い、ゴリラのマスクを剥ぎ取ろうとした。


その瞬間に、殺気がして顔を上げると、カウンターにいたもう一匹のゴリラが、こちらに散弾銃を向けて立っていた。


あたしは咄嗟に、近くのテーブルにジャンプして飛び込んだ。


さっきまでいた場所に、散弾銃の弾が勢いよく飛んでいった。



アッブナ〜!!!



散弾銃を構え、ゴリラを仕留めようとしたが、我に返った。



他の人に当たるって!!




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