加納欄の待ち合わせ シリーズ26
違うテーブルに移動しながら、対策を考えていた。


ゴリラは、移動した後のテーブルをもののみごとに破壊していった。



テーブルもそんなにあるわけではない。



ゴリラに散弾銃を撃つことも出来ない。



なら、答えは一つ。



あたしは、立ち上がると、散弾銃を床に置き、先程と同じように両手を上げた。


するとゴリラは。


「こっちへ来い!」


と命令をした。


あたしは、素直に歩いて行くと、ゴリラを睨んだ。


伸びていたゴリラも、気づいたようで、フラフラと立ち上がった。



もう少し大人しく寝てればいいものを……。



前後に挟まれ、心の中で、ののしった。


「こっちだ!」


突然第三者の声が聞こえた。


ゴリラ達には聞き覚えがなくても、あたしには聞き覚えのある声。


突然、声を掛けられ、ゴリラ達がそちらに視線を促した。


その瞬間を見逃さず、あたしは後ろにいたゴリラに回し蹴りを入れ、再度ノックダウンさせた。


すると、前にいたゴリラも、タイミングよく床に崩れ落ちた。


「大丈夫か?」


「はい……何投げたんですか?」


大山先輩は、あたしの所へ来ると、ウィスキーの瓶を指差した。



これは、痛いわ……。



大山先輩が、しゃがむとゴリラのマスクを剥がした。


犯人は2人とも男性で、わざわざゴリラのマスク付けなくても、地でゴリラといい勝負が出来るような気がした。



「ところで、大山先輩、どうやってこの中に入ったんですか?」


「裏口だよ」



やっぱりね。



「それはそうと、待ってろって言ったよな」



マズッ!



説教が、はじまるっ!!



「だ、だから、待ってたじゃないですかぁ〜」


愛想笑いを浮かべながら、答えた。


「お前は、待ってるの意味もわかんねぇのか!」


「分かってますよ。だから、待ってたんじゃないですか!!」


あたしは、少しふくれた。



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