リメンバア

いやいや。

感心してる場合じゃない。

今日のあたしの一日は、

大して変化が無かったはずで。



やけに暑くって、

梅雨が明けた、って聞いて、

扇風機が動かなくて、

買いに来た。

それだけ。

のはず。



でも?



目の前にいるのは、

幽霊。

らしい。

多分。

って、本人が言ってる。



鏡に映らなかった。

腕があたしを貫通した。

他の人には見えてない。

そんなのに、

友達になりたい、って

言われた。



確かに、

相当なレアケース。

レアどころか、

同じ経験をした人、

いないだろ!



当たり前の様に、

あたしの隣を歩いてる。

どうなの?

これ。



あ。

自分の顔、

分かんないんだっけ。

鏡に映らないから。



でも、

幽霊だとして、

例えば、だけど。

そんなに覚えてないもんなの?

顔とか、

名前とか、

住んでるとことか。


あ。

住んでた、か。

まあいいや。



何を気にしてるんだ。

気になる?

なんで?

分かんないよ。
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