リメンバア
退院した時には、中学2年だった。
手術が出来る様になった、って言われて、
すごく怖かった。
手術って言葉にも。
病院の外の世界にも。
あたしがこっちに来てから、
病院以外を知らなかったから。
行くはずだった小学校の先生が、
教科書を届けてくれた。
退屈な病院の中では、
教科書すら娯楽に思えた。
だからあたしは、
いつも教科書を読んでた。
それがごく普通に思えてた。
中学校の先生も、
教科書を届けてくれた。
後で聞いた話だと、
お母さんがお願いしたらしい。
あたしはまた、
教科書を詠み続けた。
それがすっかり当たり前になってたから。