甘いキスの魔法
「そういえば、
名前…なんて言うんですか?」
昨日からずっと気になっていたんだ。
「――二年A組、宮崎輝。」
二年生ってことは
やっぱり先輩なんだ――……。
よかった、一応敬語で話してて。
「…それより、
運んであげたお礼は?」
と優しく微笑む先輩。
―――あれ?
―――さっき言わなかったっけ?
ぱちぱちと瞬きをすると
意地悪そうな笑顔で
「俺、梨音より小さいから
大変だったな―――」
と言った。
そして宮崎先輩は椅子から立ち上がってベッドに腰をおろした。
すると先輩はあたしの頬に触る。
「ねぇ、キスしよっか。」
そう言った先輩の手に一瞬びっくりして思わず肩を揺らす。
目の前が
宮崎先輩の影で少し暗くなる、
宮崎先輩の綺麗な顔が
近付いて来て
「――宮崎…先輩?」
と呼んだ時にはもう、遅かった。