甘いキスの魔法
「じゃ、俺は戻るから。」
そう言って立ち上がった。
そしてあたしに背を向ける。
―――え?行っちゃうの?
先輩の小さな背中を見ながら
心の中で問う。
「――あ、そうそう。」
と振り返った。
「……な、なんですか?」
動揺をかくせないあたし。
「――俺のこと絶対、
好きにならせてみせるから。
――――覚悟しとけよ。」
と先輩は言い、ニッと笑った。
「…っ!好きになんて
絶対になりませんっ!!!!」
というあたしの声が保健室に響いた。