甘いキスの魔法
どうして――
あたしはこんな身体なんだろう。
そう思いながら下を向いて歩いていた時だった。
ドン、と思いきり人にぶつかってしまい地面に倒れ込む。
クリスマスのイルミネーションで無駄に明るい光の中、歩いているカップル達があたしを見る。
「す、すみません。大丈夫ですか?」
男はそう言い手をあたしにと差し延べる。
「…あたしの方こそすみません。手、大丈夫です。ありがとうございます」
そう言って一人で立ち上がった。