甘いキスの魔法
「お…おはようございます。」
そういってペコッと俺に頭を下げた。
「昨日さ、
………美味しかった、よ」
なにがですか?と梨音の動きが止まる。
「お菓子。」
そう付けたし俺は恥ずかしくなって赤くなった顔を隠すために、マフラーを巻きなおす。
「それは良かったです」
笑顔でそういってくれた梨音があまりにも可愛くて、ドキっとした。
梨音は自分の下駄箱の扉をあけると同時に一瞬、顔が曇った。
そして、梨音の間から落ちた一枚の紙。
ひょいとその紙をひろって、みる。
「…だめです!」
ぱっとそれを奪われる。
早過ぎて、あんまり見えなかった。
ラブレターにしては顔が暗過ぎる。
「……ちょっと」
そう梨音の手を引いて近くの空き教室に入った。