甘いキスの魔法
バッグを持ちながら高原と一緒に部室へ行こうとすると、
「宮崎ー」
と名前を呼ばれ、振り返れば顧問がニコニコとしながら立っていた。
「悪いんだけど、ようやく
新しいボールが届いたから
持ってってほしいんだ。」
嬉しそうにそう言う顧問はサッカーが好きなんだろうな、とつくづく思う。
「わかりました。高原と一緒に…」
そう言いかけて、ハッとする。
「…もう、いないし。」
ボソッと呟き、心の中で高原を恨む。
「まあ、よろしくなっ。
届いたばっかだから
まだ倉庫にあると思うから。
あと出来たら今日顔出すな。」
顧問がそう言って、去って言った。
新しいボールが嬉しい俺は、走って倉庫まで向かった。