甘いキスの魔法
「なんでこんなとこにいんの?」
咄嗟に口から出たのはそんな台詞だった。
「えっと…用具取りにきてて…
そしたら急に…段ボールが…」
梨音が慌てて説明する。
すると、梨音の上のたくさん積み重なった段ボールの箱がぐらり、と揺れた。
「危な……」
そういいかけながら、梨音の身体を素早く引き寄せて、力強く包み込む。
「………っ」
ドドドドドと雪崩のように俺の上に段ボールの中身や箱が落っこちて来る。
「……いって……っ」
ズキズキと身体の節々が痛む。
ある程度、箱が落ちて来るのがおさまってから目を開けた。