甘いキスの魔法
―――…
――――……
目を、開けば知らない景色で。
…寝ぼけているのだろうか?
さっきまで…倉庫の中にいたような…?
てか…今…何時だろ……
ちらりと傍にあった時計に目をやれば、8時を回っていて。
………ん、8時………?
ガバッ、と掛かっていたらしい布団を剥ぎ取り勢いよく、起き上がろうとすれば誰かの手によって阻止された。
「…まだ、動いちゃだめです」
どこかで聞いたことのある高い声だなあと思えば、梨音だった。
「……6針も縫ったんですよ」
目を伏せながら言う梨音を見て、少しだけ申し訳ない気持ちになった。
だけどお互い何も言わずに、ただ、そのまま時間が過ぎるのを待っていた。