甘いキスの魔法
そして翌日。
「お世話になりました」
看護婦さんに言われた通り、一日で退院できた。
傷の様子見だけあるから、度々通わなきゃいけないけれど。
「はい、お大事に。」
笑顔で言ってくれる受け付けの人達に、ペコッと頭を下げて病院を出る。
まだ、背中は痛むけど歩くことぐらいは出来る。
空は晴れていて、思わず伸びをしたくなった。
「ふぁーあー」
なんて、背中の傷も忘れて腕をめいっぱい、広い空に向けて伸ばした。
だけど、案の定
「…いっ」
と痛みが走った。
………完全に俺、だっせー。
なんて心の中で思えば、近くで笑い声が聞こえた。