甘いキスの魔法






「………あっぶね」









車が通り過ぎた後、そういいながら咄嗟に引き寄せた梨音を自分の身体から離す。










「……すみません、ありがとうございます。」










そういって少し離れた梨音がぺこっと頭を下げる。










「…なんか、悩んでんの?」








「え!な、なんでですか?」










動揺しているのか、目が泳いでいる。










そのまま梨音から目を離さずにいると








「いや、その…なんか…最近、こういうの多くて。」










と言い、自分の肩を抱きしめるようにした梨音の身体が何かに怯えるように、揺れた。









「………例えば?」








「昨日のとか、なんか外出ると危ない目に合う確率高くて…っ」






そういった梨音の表情に、嘘は見えない。








それなのに、




「な、なーんて。深く、考え過ぎなんですかね!私、ボケボケしてますから。」








なんて笑って誤魔化そうとするから、見てられなくなって梨音の身体を、再び引き寄せた。









「……先輩?」
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