甘いキスの魔法
「……少しでも、変なことがあったら言えよ。梨音、家送ってく。家、どこ?」
抱きしめ、頭を撫でながらそう耳元で言えば、
「……」
何も返事がないから心配して俯いていた梨音の顔を覗き込めば、ただ真っ赤に頬を赤らめさせていた。
あーもう、なんでこんな可愛い反応すんだよ…
どんだけ純情なんだよ………
ぐっと、顔を上に向かせて
下にあった梨音の視線を俺に向けさせ
「……ん…っ!?」
といきなりキスされた梨音は俺の胸を叩いて離れようとした。
ぱしっと梨音の手をとろうとすると、急に背中が痛みだし、痛みに堪えられなかった俺は直ぐに唇を離す。
「っ……いって」
痛んだ背中に手をやると、
「な…何やってるんですか!」
と心配そうな目で俺を見る梨音。
「何、って…、キ…「言わなくていいです!」
いきなり口を塞がれたものだから、びっくりして倒れそうになる。
「あ、すみませんっ」
謝りながら手を離し真っ赤な顔のまま、俺に背を向けた。