甘いキスの魔法
優しいキス
☆梨音side
【梨音side】
「…中学生の頃、当時憧れてた2コ上の先輩に告られて、付き合ったんです。」
少しずつ、思い出しながら話し出す。
本当は思い出したくもない、嫌な思い出のはずなのに、何故だか宮崎先輩に話し出している自分がいた。
「デートして帰る前に公園で話してたら、その付き合ってた先輩にいきなり体を触られたんですけど、抵抗したんです。
そしたら違う知らない男の先輩も突然私の隣に座って触ってきて。」
宮崎先輩は私の頭を撫でるのをやめ、真剣に聞き出す。
「結局逃げ出したんですけど
付き合ってた先輩は、ただ、かけていたんです。
どちらがあたしとヤレるか。」
冷たい風が、頬をくすぐる。
それは、あたしを馬鹿にしているかのように。
「……その時は走って逃げれたんですけど、そのまま男性は怖くなってしまって。」
今まで黙って聞いていた先輩が隣でマフラーを巻き直しながら突然口を開く。
「…ね、手寒くない?」
「え、はい?」
確かに手は氷のように、冷たい。
するといきなり先輩があたしの手をとって自分の手に重ねた。