甘いキスの魔法



「せ、先輩は……嫌じゃないです」







それが恋だと、気付いた瞬間なんだか、恥ずかしくなってきて。







必死に声を出したものの、あまりにも緊張し過ぎて声がか細くなってしまう。










…あたし、多分先輩が好きなんだ。






だけど、それを口にするのは何となく悔しくって。






“絶対に俺を好きにならせるから”




と、保健室で言っていた先輩の言葉が頭の中をぐるぐるとまわっていく。







「っあ、園見えて来たんでとりあえず…」






先輩の手を一方的に放して走りだせば、後ろからクスクスと笑い声が届いてくる。








そんな宮崎先輩を見て、ドキドキする気持ちを無視して園の中に入って。









ほんとは凄く、動揺してる。









凍えるような冬の風のせいで、本当だったら冷たくなっているはずの手や顔も、先輩の体温を知ってしまったからか、暖かい。






あつすぎるくらいだった。









「お姉ちゃん?大丈夫?」





と、先生に呼ばれて来たのかいつの間にか玄関に出ていた優が言った。







「大丈夫、ごめんね」




靴を履き終えた優と手を繋いで、ありがとうございました、と先生たちに一緒にお礼を言って出た。
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