甘いキスの魔法
「「いただきます」」
…向かい合って誰かと食事するなんて、いつぶりだろうか。
優と食べる時は、隣だから
「…梨音、食べねーの?」
と中々箸の進まないあたしを心配した先輩が声をかけてくれる。
「あ、はいっ!すいません!」
お茶碗を持っておかずを取って箸を進めた
無言でぱくぱくと、食べていれば突然空気を乱す音がリビングで流れ始める。
………………〜♪〜♪〜♪
………宮崎先輩がいるのに!
このままだと、留守番のメッセージが流れてしまう
「すいません、ちょっと失礼します」
と立ち上がれば、ソファーで優が半分身体を起こし、目を擦りながら
「おねぇちゃ…、また、だね」
と寝ぼけつつも、ソファーから立ち上がった優があたしの元へ来る。
"しぃー"と、口元で立てた人差し指。
「優くん、おいで。ご飯食べる?」
先輩が優を呼んで、あたしは電話を取った。