ブルー
花音はひどく悲しんだ顔をして、それでも懸命に泣かないようにしていた。


きっとそれは、泣いたらあたしが傷つくのが分かってるから。


こんなに優しい花音に、あたしは嫌なことばかりしか言えない。


「雛沢、ちょっと来い」


そんなときだった。


いきなりそう言われて、反射的に振り向くと、それは大野先輩だった。


あたしの憧れの先輩。

クラリネットのパートリーダーで、部長でもある。

そんな先輩に、こんなところを見られた…。


あたしは、自分の醜さに恥ずかしくなって、うつむいて、

「…はい」

と小さな声で返事した。



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