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「あいつ、スパイだったんじゃないかって噂だよ。
なんかの仕事で失敗して声をださなくされて今に至るってことだよ。
んで日本に隠れ住んでるんじゃないかってみんなで噂されてたんだよ。」


それを聞いた瞬間俺は笑ってしまった。
そんなことがあるわけないだろ。そう言おうとしたとき、涼が話に入ってきた。

「ってなに将人冗談言ってんだよ。違うよ。
あいつ、昔の学校でいじめられててこっちに逃げてきたんじゃないかっていう噂だよ。
声が出ないのはその時の精神的なショックで…声が出ないし俺らの中学でもイジメの標的だったんだよ。それに桜木になんで声が出なくなったのかって聞いたやつもいるんだけど、そう質問したとたんに泣きだしたんだ。もうそれは徹底的な証拠だろ?」



桜木さんがいじめの標的だった…
いじめられてたらあんな綺麗な笑顔ができるのだろうか。
さっき桜木さんがおばあさんに見せてたあの笑顔は本当に綺麗な笑い顔だった。


「あっごめん。なんか久しぶりに再会したのにこんな暗い話してごめんな。
よし、男の恋バナでもしますか?!」

涼がそう明るく言った。
でもやっぱり桜木さんのことが俺は気になってしまった。





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