笑顔がほしい
コードがはずれた電話機を見つめていた。
また電話がかかってきそうで怖かったからである。
ピカッ。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴ…
さっきよりも大きな雷がなった。


愛は窓を見た。
そしてまたもとの場所に愛は戻った。
小学一年生の時から使っているいすに腰掛けまた窓を見つめた。

そして愛は
すっと目をつぶった。
すると、叫び声が聞こえる。
笑い声が聞こえる。
愛はその時から笑顔が少しずつへり始めたのだ。
向こう側で女の子が泣いている。
女の人を抱えながら叫び泣いている。
愛は助けてあげたいのに近づけない。
走って追いかける。
その時女の子が小さな声で言った。

『笑顔なんて大嫌い。』

愛はその子の言葉にはっとされ頭が痛くなり倒れこんだ。
その瞬間に目が覚めた。
時計を見ると11時を回っていた。
愛は寝る支度をして、
すぐに布団にもぐりこんだ。
そしてまたあの女の子の夢を見た。

『笑顔なんて大嫌い。だって人を壊すから。笑顔なんて大嫌い。だって人を壊すか・・・』
女の子がずっとつぶやく何度も何度も。

愛はその少女が自分自身だということを知っている。
その少女は紛れもなく小学3年生の頃の愛だった。

『助けて。助けて!!!』

この声にはっと目を覚ました。

どうして?小学3年生の頃の私が夢に出てくるのか?
私に今更何を伝えたいのか?
私はさっぱり分からなかった。

真っ黒の部屋でただ呆然としていると目も段々と暗闇になれ、
さっきまで何も見えなかった部屋が見えるようになった。

カーテンの向こう側では雨が降っている。
その時、『ププー!』車のクラクションにびっくりした。
隣の家の子供の声が聞こえた。
家に帰るんだろうな。
そう思って聞いていた。
『ばいばーい』子供の声が聞こえる。

クラクション…
愛はずっと考えていた。
そのうち悲劇の6年前のあの日を思い出してしまったのである。

その日の夜も雨の音だけが響く静かな夜であった。
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