ハルシオンと夏の日
深夜の学校へ向かった。
通された場所は校長室。
校長と担任と親とあたし。
最初から最後まで話をきいてくれた。
「気付いてやれなくてごめんな」
先生はそう呟いて悔しそうに机を叩いた。
「教室へ行きましょうか…」

薄暗い教室。
あたしは掲示板の前で立ち止まった。
カッターと画鋲でボロボロになった自己紹介カード。
「酷いなあ…」
先生がカードを撫でた。
ゴミ箱にはまだ手紙が入ったままだった。
「これもか…ごめん…ごめんな…」

「明日からは辛くなったら先生に言えよ」
明日…
明日からまた学校へ行くの?
このままじゃ、あたし殺される。

体がじゃない。
こころが
殺される。
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