仮想友達
「ほら、ミリも歌いーや~?」

差し出されたマイクに苦笑いで手を振る。

「うち、えぇわ。下手やし、人数合わせやから。」

半分本当
半分嘘

人数合わせで無理に呼ばれて、知りもしない男子とカラオケ。別にカラオケが嫌いなんじゃないし、歌は上手いと良く言われた。

ただ、ここで歌うと負けた気がする。

初めて会う人間と
初めて見る友達の違う部分

なんだか分からない不安に、大事に膝に置いた携帯を握る。


「うちはえぇから、千夏ちゃん歌い?あれ好きやねん、えーっと…」

無理に歌わされそうになって慌てて違う友達に話しかけると、人気のドラマの主題歌をリクエストする。

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