加害者は俺、被害者は私。
「そこに書いてある、『ことにかたくななる人ぞ、"この枝、かの枝に散りにけり。今はみどころなし。"などは言ふめる』の、めるは、推定の意味でとるのではなく、婉曲の意味で捉えるのが妥当だと。なので、『特に物の情趣を解さない人が、"この枝もあの枝も散ってしまった。今は見る値打ちがない"などと言うようだ』という訳になります」
「あら…うっかりしてたわ。玉城くん、有難う。それにしても…貴方、優れた知識を持っているのねぇ」
「いえ。でも、そう言っていただけると…嬉しいです」
すごいなぁ…蒼之丞くん。
「ところで、貴方の席の隣に、女の子なんて座ってたかしら?」
「はい、勿論。最初から」
へへっ…作戦成功!!
先生の間違いについて語ることで、蒼之丞くんに先生の注目が集まる。生徒も同様に。
その間にこっそりと座る。
この作戦、失敗したことは一度も無いんだよね(笑)