加害者は俺、被害者は私。
「え…?珀、あんた楠 珱平と知り合いなの?」
「………」
「…話しは聞いてる。珱平はそういうこと、よく話してくれるやつだから」
「よ…へ…の…弟さん…?」
「あぁ」
「ちょっ…意味わかんないし…」
ゆーちゃんごめん。
こんな有名人にいきなり会って。
そして、私が目の前にいる有名人の、兄と知り合いだなんて…
話せば長くなるから話さなかった。
話せなかった。
楠 弾 (クスノキ ダン)
バイオリンを3歳から習い、成長する度に様々なコンクールで優秀な成績を納めてきた人。
漆黒の髪は綺麗に分かれ、何かを語りかけているように見える、深い茶の瞳。
珱平とは似てない顔付き。
これが有名人、楠 弾。