加害者は俺、被害者は私。
「説明しなさいよ?あたし、今回は折れないから」
「うん…ごめんね?話せなくて」
ゆーちゃんは、私を心配してくれてるように、瞳を揺らしていた。
「…一目、お前に会いたかっただけだ。僕は忙しいからもう行く。…はやく、また弾けるようになれ」
そう一言残し、楠弾くんはこの場を去った。
「……」
珱平の弟さんか。
また、夢のために蓋をしたはずの想いが出ようとしてる。
ダメだよ。
珱平の名前を聞くだけで、こんなに胸が締め付けられる。
弱いなぁ…私。
ピアノ、弾くんだから。
弾けるようになるんだから。
…もっと強くならないと。
私はその後、全てをゆーちゃんに話した。
途中詰まったり、涙が溢れたりしたけど、ゆーちゃんは黙って聞いていてくれた。