加害者は俺、被害者は私。

「……そう…なんだ」

「はい」

全て、聞いた。
近所に住んでいた健次さんのこと。
小さい頃から憧れだったこと。
その人から高一のときに告られて、付き合ったこと。
大切にされてきたこと…
事故の後に、手紙で別れを告げられたこと。

「大好きでした…本当に…」

うっすらと涙を浮かべる姿は、あの日…事故について謝りに行ったときに見た涙と重なった。

あれは、彼を想って泣いていたんだと。

「私…けんちゃんのことがあって…臆病になっちゃったみたいで…恋愛に…」

そりゃそうだ。
大切な人から突然の別れ。
だなんてどっかのドラマでも、中々見なくなったよ。

それが、現実に起きてて、俺の好きな人が当事者だなんて。
悲しすぎだろ…




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