加害者は俺、被害者は私。

彼女が来た日から、数日くらい珱平は来なかった。

寂しい気持ちもあったけど、流石に、この傷が酷いうちに見せるわけにはいかなかったから、タイミングは良かった。

お母さんも、秋頼先生の言葉を信じた。
私が、リハビリで怪我したっていう嘘を。
秋頼先生は、お母さんに散々怒られてしまった。
他の人にお母さんが怒るなんて、初めて見たからびっくりしたけど…
何だか、昔からの知り合いみたいに仲がいい。

「さっ、珀ちゃん?腕拭くから左手のギプス外すわね?」

「あ…お願いします」

にこっと笑い、私のギプスを外すこの人は、私の専属の看護師で、
翌桧 大和(アスナロ ヤマト)さん。
30歳、2児のママ。
優しくて、姐御肌で…まるでお姉ちゃんができたみたいで嬉しい。

「大和さん、今日も有り難うございます…」

「そんなの看護師なんだから当たり前じゃない!!一々そんなこと気にしないの!!」





< 35 / 115 >

この作品をシェア

pagetop