加害者は俺、被害者は私。

「最初は、憎むというよりも…悔しさとか…何かを無くしてしまったような…穴が空いたって感じだったんです」

私が語ることを、イスに座って聞いてくれる大和さん。

「そして、彼が病室に来たとき、ありえないくらいの吐き気や眩暈に襲われました。それは、事故を思い出したからです」

大和さんは何とも言えない表情で上を向き、フーッと息を吐いた。

「でも、必死に謝って…心から私が生きていたことを嬉しがる彼を見ていたら、彼は加害者であって被害者だと、私は気付いたんです。私のせいで、彼の人生は狂ってしまった…」

苦い顔をしてしまう私に、大和さんは優しく頭を撫でる。

「貴女はすごいわ…あたしだったら、彼が加害者であって被害者だなんて思わない。自分が人生を狂わされたことで、いっぱいいっぱいだもの」

困ったような笑顔向ける大和さんに、私も困り、苦笑いした。



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