加害者は俺、被害者は私。
* 珱平 *
「珱平!秦汰朗さん!哉登さん、入って来たらどうですか?」
き…気付かれてた…
「行くか…し…ってお前、どうした?」
秦汰朗は、真っ直ぐドアを見つめて、目に涙を浮かべてた。
「まぁまぁ、珱平くん?入ろう」
かなと…さん?だっけ。
ついさっき知った。
大和さんと双子だって。
ガラガラ…
「あっ…珱平!」
綺麗に笑う珀に、俺は立ち止まってしまった。
俺…なんかが、近付いていいんだろうか。
珀の苦しみに気付けなかった俺なんかが。
「珱平くん?はやく中、入りなよ」
ツンッと突いてくるかなとさんに、俺はゆっくりと足を前に出して、珀のベットまで歩く。
そこには、ベットに埋もれ、珀の動かない両手を握って、涙を流すはるがいた。