加害者は俺、被害者は私。

入院して一週間、私の病室の部屋がノックされた。

私は、けんちゃんのことがあり、精神的に不安定で、リハビリは後にのばされた。

だから、静かに毎日涙を流すことが、習慣になっていた。

ノックがお母さんだと思っていた私は、涙を流しながら、窓の外を見つめ、返事をした。

「どうぞ」

ゆっくりとドアが開く。
お母さんって、すぐ挨拶してくるよね?

私は、ドアの方を向いた。

「あの俺、貴女を事故にあわせてしまった、楠 珱平です」

私の人生を狂わせた張本人が、目の前に現れた。

あの酷い記憶が蘇り、吐き気がする。

ただ、彼は固まったままだった。

そういえば、私は泣いていて…目も腫れてるし、充血してるし…最悪だ。



< 9 / 115 >

この作品をシェア

pagetop